ある通信機器メーカー(500億ドル規模)では、救急・防災などの緊急対応業務向けの無線を製造していたが、製品が市場に出てから欠陥が発見される状況、つまり不良品の流出が発生していた。消防士などが緊急性の高い現場で使用する製品であるため、品質管理は最優先事項であった。
同社は、検査員が見逃してしまう欠陥を発見するため、AIを利用した検査システムの導入を決定した。製品1,000台で概念実証を行った結果、ボタンの取り付け間違いやラベルの欠落といった、検査員が気づかなかった重大な欠陥をAIで検出できることがわかったためだ。AI検査を追加した場合のROIは簡単に計算できた。具体的には、検査時間と流出率の削減見込みや、削減できる作業員の数、損益分岐点を算出した結果、1か月で投資を回収できると判断した。
価値を実証してAI導入を促進する
明確な利点があるにもかかわらず、既存の業務にAIを導入するには課題が伴う。最大の障壁の1つは変更管理、つまり、導入部署に対して、新しいテクノロジーを受け入れ、それをワークフローに組み込むように説得することである。
人は変化を好まない。実際に使用する人に新しいテクノロジーを紹介する際には、それが会社全体のKPIだけでなく、個人の業務やKPIにも価値や効果をもたらすことを認識してもらえるように、慎重に進めることが重要だ。現場の作業者にも、経営幹部にも納得してもらう方法として、試験的なPoV(Proof of Value:価値実証)を行うことが挙げられる。PoVでは、テクノロジーの機能性を検証するPoC(Proof of Concept:概念実証)とは異なり、そのテクノロジーが重要KPIに効果があるかどうかを検証する。このようにAIによる品質改善のROIを計算し、不良品流出のコストを定量化すれば、導入費用を正当化でき、主要なステークホルダーの賛同を得やすくなる。
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