教育訓練とスキルアップを大規模に展開する -2

品証・品管ニュース

装置シミュレーターの威力

 

装置シミュレーターも画期的なツールだ。現実に近い仮想環境の中で、新入社員などが複雑な装置の操作を学べる。たとえ操作ミスをしても、仮想世界なら安心だ。これにより、教育訓練時間を大幅に短縮できるとともに、作業者、装置、材料に対するリスクを軽減できる。作業者側も、シミュレーター上でスキルをしっかり身につけた上で、自信を持って実機の操作に移ることができる。

 

装置シミュレーターは、CNC工作機のようなハイテクで高価な装置の訓練では特に有効だ。以前のように実機を使用した訓練では、貴重な生産能力を制限することになり、操作ミスをすれば余計なコストが発生する危険性もあった。シミュレーター上なら、生産や安全に影響を与えることなく、自分のペースで学ぶことができる。装置シミュレーターの中には、AIを使用してさまざまなタイプのCNC工作機やCMM(三次元測定機)のインターフェースを再現できるものもある。このような仮想訓練システム1台で、短期間での習熟が可能となる。

 

シミュレーターを使えば、装置に問題が発生した場合のトラブルシューティングや、新しい部品に対するセットアップの最適化など、より複雑な想定での訓練も容易だ。こうした課題への対処方法をリスクのない仮想環境で学ぶことで、現実世界で起こる想定外の出来事に対処する準備が整い、生産を円滑に進められるようになる。

 

AIによる人材最適化

 

こうした教育訓練のための最新テクノロジーは、全社的なプランニングツールと組み合わせることで、さらに威力を発揮する。筆者の会社では、AIベースのシステムで全従業員のスキルと教育訓練記録を管理している。具体的には、システムを通じて各作業に必要な工数を把握し、多能工化のためのクロストレーニングの必要性、設備能力上の制約、手配可能な人員などの要素を考慮して最適なスケジューリングを行う。

 

これにより、人員能力の全体像をリアルタイムで把握でき、適材適所の動的な配置ができるため、生産量を最大限まで引き上げつつ従業員のスキルアップを図れる。ある領域でサプライチェーンに起因する遅れが発生しても、多能工化した作業者を別の生産ラインにスムーズに再配置でき、生産活動が滞ることはない。

 

また、AIは、生産上のニーズや各従業員のキャリア目標に基づきスキルギャップを特定した上で、各自に必要な教育訓練を積極的に提案する。当社ではスキルアップに対して、このように的を絞った個別のアプローチを行うことで、機動的な人材管理と従業員のエンゲージメント維持につながっている。

 

実際、効果は絶大だった。このAIを活用したアプローチにより、昨年だけでも製造効率が73%向上し、リードタイムは半分に短縮できた。さらに重要なこととして、従業員も、多能工化の訓練を受けたことで仕事のやりがいが増し、昇進のチャンスが広がったと感じている。まさにウィンウィンだ。

 

(-3に続く)

 

※原文記事を機械翻訳+人手校正(ポストエディット)にて作成しております。