ここ数年でパルス渦流探傷試験（PEC）の開発・改良が進み、その作業効率と信頼性が大幅に向上するとともに、検査可能な部品の範囲が広がっている。こうした進化を遂げたPECは、運転を停止せずに複数の部品の腐食スクリーニングができる方法として非常に費用対効果の高い選択肢となっている。近年の技術進歩により大きく信頼性が高まったことで、PECはASMEボイラー・圧力容器コード2021年版やISO規格「非破壊試験 – 強磁性金属部品のパルス渦電流試験」に盛り込まれるなど、存在感を増している。PECが石油・ガス産業で検査方法としてどう普及してきたかを理解するため、まずはその仕組みを確認してみよう。

PECで用いるプローブにはコイルが内蔵され、短パルス電流が流れるようになっている。パルスの持続時間は、材料の全厚に浸透可能な強度を持つ安定した磁場が形成されるように設定される。この時間を放出位相といい、材料の特性や厚さにより数ミリ秒から数百ミリ秒程度になる。

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