翻訳家が主人公の小説「Good on Paper」

世界翻訳ニュース

バーミンガム出身の作家、Catherine O’Flynnによる、翻訳家が主人公の小説「Good on Paper」の書評が英紙The Guardianのウェブサイト上で公開されている。その一部を紹介する。

Rachel Cantorの2作目の小説「Good on Paper」は、文芸翻訳、許し、そして2度目のチャンスについての難解で学識の深い研究とでも言うべき作品である。

主人公のShira Greeneは、低賃金でやりがいのない短期バイトを転々としているが、ある日、ノーベル賞受賞詩人のRomeiに新作の翻訳者として選出される。人生における新たなチャンスを得たShiraだが、その新作は、翻訳不能な引喩や言葉遊びにあふれ、複雑で巧妙な言語的表現が交錯するものだった。

著者は翻訳することの難しさを巧みに表現しており、啓蒙的で興味深い洞察を作品内にちりばめている。感性に訴える家族の物語という面と翻訳の知的な探究という面のバランスは必ずしも完璧ではないが、遊び心があり読み応えのある作品に仕上がっている。