ルイス・キャロルは、自身の書いた『不思議の国のアリス』がこれほど有名になるとは考えもしなかっただろう。1865年に出版され、いまや児童文学を象徴するこの風変わりな冒険小説は150年経った今日、ディズニーによって映画化されている。続編『Alice Through the Looking Glass(邦題:アリス・イン・ワンダーランド2)』は2016年公開予定である。
奇妙で想像に富んだアリスの魅惑的な世界観を訳す難しさは想像に難くない。174もの言語に翻訳されている中では、言語によって興味深い変更点も生まれている。「he’s crazy(彼は気が違っている)」の意を伝えるとき、「mad as a hatter(帽子屋のように気が狂っている)」と当時表現していた英語とは異なり、「he broke the marble(彼は大理石をかち割った)」と表現するフランス南部のプロヴァンス語版では、登場人物の一人である「Mad Hatter(気違い帽子屋)」は「Marble Mason(大理石の石工)」と訳されている。年長者を敬うべきとされる日本では、アリスと帽子屋は喧嘩をしない設定になっている。
上記は、デイリーオンラインマガジン『The Upcoming』の11月17日付記事の冒頭部分より。記事では他にも、セルバンテスの名作『ドン・キホーテ』や、近年話題となったJ・K・ローリングの『ハリー・ポッター』の翻訳にまつわる豆知識、世界中で愛読されている『星の王子様』の作者、サン=テグジュペリについての事実などを取り上げている。