翻訳は「不可能性」ではなく「可能性」の技術である

世界翻訳ニュース

米ミシガン大学の教授、Benjamin Paloffshi氏は、The Nationのオンライン記事の中で、翻訳の可能性について述べている。その一部を紹介する。

翻訳の目的について20世紀にもっとも影響力を与えたと思われる著作のタイトルを借りて論じるならば、「翻訳者の使命」とは原文に改良を加えた文を生みだすことだ。(ただし著者ヴァルター・ベンヤミンはそこまで言及しておらず、正確には「あらゆる偉大な文書は、ある程度まで行間に潜在的な翻訳を内包している」と書かれている。)

EUには24の公用語があり、すべての法的文書を全言語に翻訳しなければならない。このように翻訳は世界をまとめるための基本的な活動のひとつのはずだが、世間では、翻訳とはいかに不可能なことであるかという類の、お決まりの発言がなぜか延々と繰り返されている。そうなってしまうのは、ひとえに翻訳者の存在が見えにくく、その仕事が謎に包まれているからに他ならない。