アメリカ先住民 消えゆく母語を子供に伝える

世界翻訳ニュース

ここは、北米先住民保護特別保留地の一角にある保育所。灯りを落とした部屋で子供を寝かしつける保育士が静かに歌うのは、北米先住民チペワ族の母語「アニシナベ語」の歌だ。小さな子供たちが、消えゆく母語を受け継いでいく。

「アニシナベ語は私たちのアイデンティティー。母語を通して、子供たちにチペワ族の文化を伝えていくのです」

米国ミシガン州サギノーのチペワ族は現在3700人。しかし2005年の調査で、アニシナベ語を流暢に話すのはたったの2人だった。

19世紀後半から20世紀前半にかけて、北米先住民たちは半ば強制的に現アメリカ文化に同化させられ、伝統的な衣服をまとうことも母語を話すことも禁じられた。言語は、そうした背景の中で失われていったのである。