今週発表された2015年度の国際IMPACダブリン文学賞には142作品がノミネートされ、この中で他言語から翻訳された作品は16言語49作品であった。この数字だけ見ると国際色豊かなようだが、候補作品の選考には多くの疑問がある。選考対象となっていたのは、ほとんどがヨーロッパ言語からの翻訳作品だからである。
候補作品は、39ヶ国114の都市にある図書館から寄せられた。しかし専門家が指摘するように、アフリカ全土からノミネートされた作品数は、リヒテンシュタイン1国からノミネートされた数と同じ1作品、アラビア語や日本語の作品は1つも入っておらず、南米の作品はわずか1作品のみといった状況であった。また、別の指摘によれば、インドから3点候補を出した図書館は私立の会員制図書館であるため、「公」であるべきという賞の基準を満たしておらず、さらに、その候補作はいずれも英語で書かれたものだったという。