配管検査で腐食スクリーニングを行う際も、保温材をはがさずパルス渦流探傷試験（PEC）を使用すれば、検査の費用と時間を大幅に削減できる。例えば、公称直径8インチのパイプに厚さ2インチの保温材と0.02インチのアルミ被覆が施されている場合を考えてみよう。このような場合、PECシステムでは1日当たり約500～650フィートのスクリーニングが可能だ。最近の技術開発で動的スキャンが可能になったため、配管全体にグリッドを設定する必要がなくなった。さらに、PECのプローブに複数のコイルが配列されるようになったことで検知領域が広がり、生産性が向上している。

以上をまとめると、PECの最大の利点は、保温材や耐火材、防護カバーを取り外すことなく腐食検査ができることだ。そのため、全面腐食など検出可能な腐食のスクリーニングに使用すれば、費用対効果の高い方法となる。設備全体の被覆をはがすのではなく、PECで対象箇所を絞ってから詳細検査を実施できる。短い停止期間で広範な設備状態を評価できるPECは、効率的で経済的なツールだといえる。このように複数の設備をまとめてスクリーニングするという考え方は、API581規格が規定するリスクベースの検査と一致する。もちろん、PECには利点もあれば限界もあるため、その両方を理解した上で、PECを超音波探傷試験（UT）などで補完しつつ使用するのが効果的だ。近年の技術進歩で改良が進んだPECは、短期間で設備の信頼性と安全性の向上を図るための頼れる検査手法として、製油事業者に活用されている。

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