翻訳者が翻訳会社を通して仕事を得ることのデメリットについては、レートの設定や割引、処遇などがよく指摘されているが、その解決策として提案されることが多いのは、直接取引できるクライアントを持つ、というものだ。しかしながら、独英翻訳者Ted R. Wozniak氏は、この解決策に対し、異を唱えている。
会計士の資格も持つ同氏は、自身の経験からフリーランス翻訳者がクライアントと直接取引するデメリットについて次のように述べる。
・経験の浅い翻訳者が求められる品質の仕事をするのは難しい。
・居住地や言語の組み合わせによっては、決定権をもつ相手と接触し交渉するのが難しい。
・翻訳以外の作業に時間がかかる。見込み客を見つけて営業をかける、プロジェクトの前後にわたる「おつきあい」、DTPやレイアウトなどの作業、休みを取りたいときの代理を確保する、などの作業からは収入が得られないため、結果として時給を押し下げてしまう可能性がある。